主な内分泌負荷試験

負荷試験名 実施方法例 検査項目 結果の解釈
TRH試験

採血スケジュール 前 15・30・60・90・120分
TSH
など
正常人では、30〜60分で10〜40μU/m1の最高値を示すが、下垂体性甲状腺機能低下症では増加せず、視床下部性甲状腺機能低下症では増加する。
未治療のバセドウ病でも変化がみられない。
LH-RH試験

採血スケジュール 前 15・30・60・120・180分
LH
FSH
など
LHは、15〜30分で最高値を示し、成人男子で50〜100mlU/ml、女子で30〜100mlU/mlを示す。排卵前期に行えば数百mlU/mlに上昇する。性腺機能低下で、正常反応が認められれば視床下部障害、低反応では下垂体機能低下症が疑われる。原発性性腺機能不全の場合は過剰反応を示す。
Rapia ACTHテスト

採血スケジュール 前 30・60分
コルチゾール
または
11-OHCS
正常者は、負荷後30分値または60分値が前値の2〜4倍に増量する。(前値が正常であることを確認)クッシング症候群のうち腺腫では無反応または増加のいずれも認められ、過形成では反応陽性であり、アジソン病や皮質ステロイド投与による医原性機能低下症では増加反応を示さない。
デキサメサゾン試験(標準法)

蓄尿スケジュール 1・2日目(対照)
            3〜6日目(試験)
尿17-OHCS
など
正常者は、2mg投与2日目に尿中17-0HCSが投与前値の1/4以下となる。クッシング病では1日2mg投与で抑制されず8mg投与で前値の50%以下に低下する。副腎腫瘍および異所性ACTH産生腫瘍によるクッシング症候群では8mg投与でも減少しない。
メトピロン試験

蓄尿スケジュール 1・2日目(対照)
            3・4・5日目(試験)
尿17-OHCS
など
正常では3日目に前値の2〜4倍に増量する。投与翌日に最高値を示すことが多い。下垂体機能低下があれば増加しない。クッシング症候群のうち副腎皮質腫瘍によるものは反応せず、クッシング病では過剰反応を示す。
ブドウ糖負荷試験(GTT)

採血スケジュール 前 15・30・60・90・120・180分
血糖
IRI
CRP
など
注意事項
●検査前日の大量飲酒(日本酒3合相当以上)は禁止する。
●検査前の過激な運動は禁止する。
●絶食時間は10〜14時間とし、検査は早朝空腹時に実施し終了まで水以外の摂取は禁止する。
●検査中はできるだけ安楽な姿勢で座席につかせ、喫煙は禁止する。精神的緊張も影響するので注意。


糖尿病の診断と糖負荷試験の判定基準(日本糖尿病学会の診断基準 1999)

(1)以下の3つの内1つが別の日に行った検査で2回以上確認されれば糖尿病と診断します。すなわち、
*朝食前空腹時血糖値が126mg/dl以上
*経口ブドウ糖負荷諌験にて負荷後2時間血糖値が200mg/dl以上
*任意の時刻に測定した血糖値が200mg/dl以上
(2)上記基準を1回しか満たさない場合でも以下の項目のどれか1つでも満たせば、糖尿病と診断します。
*糖尿病の症状(口渇、多飲、多尿、全身倦怠感、体重減少など)がある場合
*グリコヘモグロビン(HbA1c)が6.5%以上ある場合
*糖尿病性三大合併症のいずれか(通常は網膜症)がある場合
空腹時値 2時間値
糖尿病型 126mg/dl以上 200mg/dl以上
正常型 110mg/dl未満 140mg/dl未満
境界型 糖尿病型・正常型にも属さないもの
ただし、正常型であっても1時間値が180mg/dl以上の場合は、将来糖尿病になる危険が高いので、境界型と同様な取り扱い(定期的な経過観察など)が必要です。