呼吸器の検査
胸部X線検査
1.何がわかるか-----基礎知識
肺、縦隔(両方の肺の間にある部分)、胸郭、胸膜(肋膜)及び心臓の異常を調べる目的で検査します。
通常、正面像で観察しますが、心臓の裏側をみたりするため、側面像も撮ることがあります。
2.異常値-----疑われる病気や異常
呼吸器系の場合
肺結核
肺炎、気管支炎
肺癌
肺気腫
肺線維症
循環器系の場合
心臓肥大
大動脈硬化症
3.どうすればよいか-----日常生活上の注意
所見のほか、医師から指示があります。正しく守って、精査、管理、治療を受けて下さい。
心配なときは、詳しく聞き、また専門医に相談してください。
呼吸機能検査
1.何がわかるか-----基礎知識
呼吸のときの呼気量と吸気量を測定し、呼吸の能力を調べることを呼吸機能検査と呼んでいます。換気の機能を調べる基本の検査です。
通常次の検査を行います。
肺活量(VC):空気をいっぱい吸入して、いっぱいはいたときの量です。通常、年齢と身長によって計算した予測値と比較して、%肺活量として表します。
1秒率(FEV
1.0
%) :肺活量を測定するときに、最初の1秒間に全体の何%を呼出するかの値です。肺の弾力性や、気道の閉塞の程度を示します。弾力性が良く、閉塞がないと%は大きくなります。
この2つの指標を使って、肺の換気の障害を拘束性と閉塞性および両者の混合性の3つに分けます。
拘束性障害:肺活量の低下のある時で、呼吸する肺の組織が減少したり、胸膜の病気などでみられます。
肺の弾力性の低下:肺線維症、じん肺、間質性肺炎など
胸部拡張性の障害:古い胸膜炎
呼吸運動の障害:筋肉、神経の病気
閉塞性障害:1秒率の低下がおもな病気です。
気道閉塞:喘息、慢性気管支炎、びまん性細気管支炎
肺気腫
2.異常値-----疑われる病気や異常
肺活量の増えた人
気管支喘息
肺気腫
肺活量の減った人
肺結核
肺線維症
肺炎
腫瘍による気管支閉塞
脊椎の変形
3.どうすればよいか-----日常生活上の注意
正しく検査を受け、自分の呼吸の能力を把握してください。
閉塞性障害がみられたら、気道の閉塞を促進するものは中止しましょう。
特に重篤な病気がない場合は、日頃の呼吸訓練が重要です。基本は、ゆっくりと深呼吸をし、その際、腹式呼吸を行うことです。
腹式呼吸のしかたは、まず仰向けになり、体の各筋肉の緊張をやわらげ、ついで右手を胸の中央に左手を腹部におきます。口を閉じ鼻から深く吸い、腹を出来るだけふくらませます。その時右手で胸部が動かないようにします。
次に口をすぼめて、ゆっくりと息を吐き出し、同時に左手で腹を内上方へ押し上げます。吸気に3〜5秒、呼気に3〜5秒かけるようにします。ついで左側、右側を下にして横になって同じ事をおこない、最後に頭部を10度下げた位置や座位で行います。
喀痰検査
1.何がわかるか-----基礎知識
喀痰の検査の目的は、細菌検査など多くありますが、通常、健診や人間ドックで行う検査の目的は、細胞診で肺癌の検査です。
肺癌は、気管支上皮から発生し、一部細胞が剥がれて痰の中に出てきます。それを染めて顕微鏡で調べます。
通常、2〜3日にわたって毎朝、痰を採取して調べます。これは連続法で、発見率が高くなるからです。
癌の発見率は、肺の中心部の肺門の癌で80%、末梢の肺部の癌で50%です。特にX線写真で発見されず、喀痰で発見される癌は全体の30%ほどあります。
タバコを多く吸う人や、血痰のあった50歳以上の人の喀痰による癌発見率は、500〜1000人に1人です。かなり多いものです。
1日の喫煙本数×喫煙年数=喫煙指数:600以上は、ハイリスクグループです。
2.異常値-----疑われる病気や異常
発見される病気
肺癌
気管支炎
肺炎
肺化膿症
肺結核など
3.どうすればよいか-----日常生活上の注意
痰で発見される癌は、早期癌であることも多く、疑陽性以上であれば、なるべく早く、肺癌の専門医に診てもらってください。確定診断に気管支鏡などが必要ですので、専門医を訪れるべきです。
40歳以上の喫煙者は、計画的に年に2〜3回検査をしてください。