よくあるご質問についてまとめました。
1.抗菌薬(抗生剤)使用方針
2.気管支喘息について
3.食物アレルギーについて
4.アトピー性皮膚炎について
5.中耳炎について
6.副鼻腔炎について
7.熱性けいれんについて
8.てんかんについて
9.注意欠陥多動性障害について
10.自閉症について
11.インフルエンザワクチンについて
お子さんの発熱原因の大部分を占めるウイルス感染症に抗菌薬は効果がありません。安易な抗菌薬使用には薬が効かない菌の増加や不要な薬剤投与による副反応の危険性等、不利益が生じえます。一方、病気の原因が細菌感染である場合には抗菌薬が有効であり、常にその必要性を考え診療します。抗菌薬がない時代には多くのお子さんが重症細菌感染症で苦しまれたことを忘れずに診療します。
喘息は体質ですが大部分は自然に良くなっていきます。お子さんの場合はカゼに伴いゼーゼーすることが多く、抗ロイコトリエン薬や吸入治療を行います。吸入薬のなかでも吸入ステロイドの治療効果が高く治療に欠かせませんが、長期投与で身長が1〜2cm程度低くなることも解ってきました。 これらのことをふまえ、それぞれのお子さんの年齢や重症度により治療方針を提案します。
乳児期に湿疹がみられるお子さんに、卵白、牛乳、大豆や小麦などのアレルギーがみられることがあります。それ以外にも様々な食材でアレルギー反応が起こりえます。その程度や種類により治療方針を提案します。
保湿剤と症状に応じたステロイドを塗ります。又、かゆみが強ければかゆみ止めを内服します。治療目的は快適な日常生活を過ごせる状態を保つことです。症状に合わせて塗り薬の種類、塗り方、及び治療期間を説明します。
中耳炎の大部分は自然に治癒します。年齢と症状の強さにもよりますが1〜2日ほど鎮痛剤で経過をみて耳痛や熱などが続くときに抗菌薬を開始します。慢性中耳炎である滲出性中耳炎のほとんどは数か月で自然治癒します。高度の難聴がなければ、とくに治療は不要で月に1回程度経過をみていきます。難聴が3〜6か月以上続けば内服治療をおこないます。これでも治癒しない場合には鼓膜チューブ挿入が必要になるケースがあります。
お子さんの副鼻腔炎は10日程度で自然治癒するため、成人とは異なり長期間の抗菌薬は不要です。お子さんのカゼの後では半数以上に副鼻腔炎がみられますし、頭部MRI検査をした際には鼻の症状で困っていないお子さんに少なからず画像上で副鼻腔炎がみられます。当然両者とも特別な治療はいりません。治療が望ましいケースは、年齢によりますが10日前後副鼻腔炎症状が改善せず日常生活に支障がある場合や顔面の腫れがあるときに限られます。
熱性けいれんは、発熱時に起こるけいれんのことを指します。生後6か月から6歳までに多く、日本では、20人に1人程度の割合で発症します。熱が出始めてから24時間以内に、手足がかたまりガクガクし、2〜3分ほど意識を失うのが典型的な症状です。一般的に長時間続くことは少なく、脳に大きな悪影響はありません。顔を横向きにして寝かせ吐物で息がつまらないようにしてください。けいれんが長時間続かない限り特別な治療は不要ですが、発熱原因や全身状態の判断、今後の方針の説明を受けるため受診してください。
お子さんに発症するてんかんには意識消失(ボーとする)やけいれん発作等様々な症状がみられます。経過についても、成長につれ改善したり、難治が予測されるものなど様々です。治療は2-5年以上の長期にわたるため、てんかん発作を抑制するのみならず日常生活を健やかに送れるような配慮が必要です。けいれん発作、意識消失を繰り返す、又はてんかんの可能性があると言われた際にご相談いただければ日本てんかん学会専門医として責任を持って診療します。
不注意(集中力がない・気が散る)、多動性(じっとしていられない・落ち着きがない)、衝動性(順番を待てない・考える前に実行する)の3つの要素がみられます。年齢によってはこれらの要素は誰にでも見られるものなので、教育機関による支援にもかかわらず学校生活に多大な支障があるケースのみ薬物治療を行います。
臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心やペースを優先させたい性格を持ちます。他人の気持ちを推し量ることも苦手です。その特性の目立つ人は社会生活に支障をきたすことがあります。環境からストレスを受けやすく不眠や暴力行為などの二次障害のハイリスクといえます。現時点では直接自閉症を治癒させる薬剤はありませんが、二次障害を軽減させる治療は存在します。しかし、適切な支援体制を整備して環境調節することが二次障害の発現や予防に最も大切です。
インフルエンザワクチンについては賛否両論があります。ワクチン接種にもかかわらずインフルエンザにかかってしまうお子さんが少なからずおられるのも事実です。現時点ではインフルエンザワクチンの有効性を判断する明確な医学データが乏しいため、当院としてはその有効性の判断はできません。私見としてですがインフルエンザにかかると重症になりやすい、特に心臓・肺・腎臓の慢性疾患を持つお子さんには接種をおすすめします。