5.甲状腺に関する検査 -2- 
B)In vivo検査:
表5-1.甲状腺関連インビトロ検査について
  超音波検査
  穿刺吸引細胞診
  摂取率検査
  シンチグラム
  CTおよびMRI
甲状腺に関するIn vivo検査も診断上重要であり、主要なもののみについてポイントを述べる。
@超音波検査
特徴:
結節性甲状腺腫の診断上不可欠のものであり、広くルーチン的に利用されている。
測定意義:
ことに結節が嚢胞性か充実性かを見るのに有効である。
腫瘍の可動性や周囲の状況、さらに石灰化の状態などからある程度良・悪性の鑑別にも有効である。
びまん性甲状腺腫や亜急性甲状腺炎の診断にも有用で、ことにドップラーエコーは甲状腺内の血流の観察により、バセドウ病と無痛性甲状腺中毒症(亜急性甲状腺炎は独特の低エコー像から診断可能)の鑑別に有効である。
また、甲状腺の容積を本法で算出することが可能であり、治療経過の判定に用いられる。
留意点:
嚢胞中の小腫瘍ががんであることも少なくなく、エコー検査のみで良・悪性を決めることはできない。
正常と思われる甲状腺にもエコー検査で小嚢胞を検出することも少なくないが、径5mm以下のものは原則的に精査の対象としなくて良い。
A穿刺吸引細胞診(FNA)
特徴:
エコー検査とともに結節性甲状腺腫の診断に不可欠のもの
測定意義:
結節性甲状腺腫の診断が、甲状腺の局在から容易に実施でき、極めて有効である。結節を認めた場合良・悪性の鑑別が最大のポイントであり、FNAの利用によってこれがかなりの信頼度で可能となった。
甲状腺に多発する乳頭がんは、細胞配列の特殊性、核の形態、核内封入体の存在などから診断確定できる。
未分化がん、髄様癌、悪性リンパ腫、亜急性甲状腺炎、橋本病などもFNAが診断上有効である。
エコーガイド下のFNAは、一層的確に腫瘍を穿刺できるので小腫瘍においてはことに有用である。
留意点:
良性甲状腺腫瘍(濾胞腺腫)と濾胞がんの識別にも用いられるが、一般的にはFNAで診断困難な場合も多い。
屡々濾胞性腫瘍クラスVと判定される。この様な場合、またクラスUと診断された結節についても、6カ月くらいで再検することが望ましい。
B123I または99mTcO4-摂取率検査
特徴:
甲状腺は、血中からヨードを能動的に摂取して甲状腺ホルモンを合成する。放射性ヨード(またはテクネ)を投与し、甲状腺への集積を見ることによって、甲状腺の活動状態が分かる。血中のホルモン濃度の高低は結果であり、その理由を知るには不可欠な検査である。
測定意義:
甲状腺ホルモン上昇を認めるバセドウ病と破壊性甲状腺炎の鑑別には最も有効な検査である。前者は高値を示し、後者はTSHの抑制と組織破壊により極めて低値をとる。
また、機能低下症についても可逆性か不可逆性かを判定するには摂取率検査が有用で、前者は一般的に正常または高値を示し、後者は低値に留まる。
TSBAbによる機能低下症は摂取率低値である。
留意点:
最近ではRIを用いるため特別な施設や高額な機器を要すること、In vitro検査が充実したことなどから摂取率検査を割愛する傾向があるが、早く正診するには必要な検査である。
〔その他〕
また、バセドウ病の寛解判定にはT3投与前後の抑制の有無を見ること(T3抑制試験)が現在でも最も有効な指標である。さらに、ヨードの有機化障害の確定にはロダンカリまたはパークロレイト投与による放出試験が用いられる。
Cシンチグラム
特徴:
123I または99mTcO4-投与後に甲状腺部をスキャンすると甲状腺の機能的形態が分かる。
測定意義:
結節部が過機能を示す中毒性結節性甲状腺腫では結節部のみにRIが集積し、hot-noduleを示す。多くの腫瘍では結節部の機能は乏しくcold-noduleとなる。舌根部などの異所性甲状腺の診断にも不可欠である。
ただし甲状腺がんの転移巣がヨード集積能を持たない場合には201Tlシンチによる検索が有効である。
悪性リンパ腫や未分化がんでは67Gaシンチが有効であるが、分化がんにはほとんど集積しない。
分化がんの転移の検索には、甲状腺全摘後の放射性ヨード(131Iまたは123I) シンチグラムがことに有用で、集積を認めれば131I大量療法の適応となる。
髄様がん、ことにMEN2型の場合、131I-MIBGによるシンチが有効で、集積を認めればこの大量投与による治療も考えられる。
甲状腺腫瘍の良悪性の鑑別に201Tlシンチが有用である。
留意点:
甲状腺腫瘍の良悪性の鑑別に201Tlシンチが有用であり、ことに投与直後よりも投与後1時間の集積が有効とされるが、十分なものではない。
DCTおよびMRI
特徴:
CTは優れた画像を提供することから汎用されているが、甲状腺に関してはエコー検査の方がいろいろな角度から観察できるし、簡便であり、微小病変が検出でき、さらにCTではヨード剤による造影が必要であるが不都合な場合もあり、一般的にはエコーが優位にある。
測定意義:
エコーは深部の情報が乏しいのでがんが疑わしい場合には甲状腺周辺の状況や気管、リンパ節などの観察にCTやMRIを実施する。
また、胸部CTに際して甲状腺の異常が検出されることも稀ではない。
がんの術前に実施すればリンパ節や血管の状況について有益な情報が得られる。
なお、バセドウ病眼症(眼球突出)の診断には、MRIが外眼筋の腫大や球後部の観察に好適である。
留意点:
MRIは画像的に優れるが、一般的には不要である。